夜が来ても真っ暗で困る、ということはなかった。薄暗くなってくると、街灯も室内も照明がちゃんとついた。ただしベッドは使えなかった。身体がベッドをベッドと認識してくれないのだ。寝ている感覚がないベッドに寝るのは、なんだか気持ちが悪い。
 なので、公園で夜を過ごすことにした。
 一応横になってみたけれど、眠気がやってくる気配はない。芝生の柔らかさも感じない。固さのないアスファルトに寝ころんでいるみたい。
 サイラスは夜空を見ている様子だった。こちらに背を向けていて、顔は見えなかった。
 昼間のにぎやかさからは遠い、静かな背中。
 声をかけようと口を開きかけて……
寝たふりをする