あ、意外と温かい。
ちゃんと人の手だ。
サイラスの手に触れた正直な感想だった。
飛空都市に来てからしばらくは、サイラスは実はアンドロイドなんじゃないかと疑っていたのだ。
でも柔らなところも固いところもあるそれは、きれいに整っているけれど、確かに人間の手だった。
嫌がるのであればやめるつもりだったが、彼はやれやれ仕方ないですねというように受け入れてくれた。それなら、甘えさせてもらおう。
「手に出生の秘密でも書かれていますか?」
感慨深い気持ちで掌を撫でていると、サイラスが尋ねてきた。
「人間だなあって」
「それはそれは。お褒めに与り恐縮です」
「褒めてはないです」
お互いの大きさを比べるみたいに、開いた手と手を合わせる。
「……指が長いですね。爪の形もきれい。あ、ちゃんと血管もある」
「ちゃんとありましたか? それは安心しました。あなたの脈も正常な数値をキープしているようですね」
「ほんとだ」
目線で会話をする。
もう少しいいですか。
いいですよ。