「シャンプーとコンディショナー、どこの使ってるんですか?」
 サイラスの髪があまりに指通りがよくさらさらしているので、衝撃のあまりつい尋ねてしまった。
「通販で購入しましたが、品名までは覚えていないですね」
「美容院で特別な処理とかしてるわけじゃないんですよね?」
「特には」
 羨ましい……という素直な呟きがもれてしまう。
「あなたの髪も、個性的でいいんじゃないでしょうか」
「毛先がハネるの、どうしても直らないんです」
「直す必要が?」
「サイラスやレイナみたいなサラサラの髪に憧れてて。スタイリングとかカットとか、色々工夫してるんだけどなあ」
「ふむ」
 サイラスはぴょんと外にハネた髪をつくづくと眺めた。
「自我がある……ように感じられます」
「髪に自我はいらないんですけど」
「それに面白いですよ。見ていて飽きません」
「面白さもいらないんですけど……」
 髪を撫でるうちに、だんだんと距離が近くなってきた。
顔に触れてみる