そっと包み込むように掌を頬の形に添わせた。静かに見つめてくる目のラインを指でなぞる。いつも涼やかな切れ長の目元。まぶた。自分を映した眼差しが、確かに存在していることを指で確認する。
「まつげ」
「まあ、あるでしょうね。最後に鏡を見たときには、確か存在していたはずです」
「鼻筋通ってますね」
「お褒めに与り光栄です」
「目……何色なんでしょうか」
「さて、自分でもよくわかりません」
薄い唇の両端を、親指で軽く引き上げる。
「サイラスって、あの胡散臭い笑顔は営業用? それとも素なんですか?」
「オー、テリブル。心外ですね。いついかなるときも、真心を心を込めて笑顔をお送りしてますよ」
「声を上げて笑うことあるの?」
「あるかもしれません」
「見たことないですけど」
「ためしてみますか」
「どうやって」
「コチョコチョくすぐるなど、でしょうか」
「その言い方……くすぐりに強いんですよね? やめときます」
「それは残念」
「くすぐってほしかったんですか?」
いかにも楽しげに目を細める仕草に笑みがこみ上げてきて、